放射線治療センター外来診療担当表

前立腺がん放射線治療における
ハイドロゲルスペーサーの挿入を始めました


 当院泌尿器科及び放射線治療科は 2021年度より前立腺がんに対する強度変調放射線治療IMRTを実施するにあたり、ハイドロゲルスペーサー ( 商品名:SpaceOAR ) の使用を開始しました。

 図1のように、前立腺と直腸はすぐ近くにあり、前立腺に放射線を照射するときに直腸にも強い放射線があたっていました。強い放射線は晩期障害と言われる放射線治療後の直腸出血の原因となります。そこで、図2、3のように前立腺と直腸の間にハイドロゲルというゼリー状の物質を注入します。前立腺と直腸のすきまを大きくすることで、直腸にあたる放射線を弱くすることができます。このハイドロゲルの活用で直腸出血を大幅に減らすことが可能です。

 ハイドロゲル挿入後は2-3週間程度で放射線治療の位置決めCTを行い, 4週目には放射線治療を開始します。放射線治療中にはハイドロゲルは体内で安全にたもたれ、終了後に自然に吸収されます。

 ハイドロゲルの挿入には前立腺がんの針生検の時と同様に数日の入院が必要です。
 副作用は出血や粘膜内注入、感染などがありますが、確率はわずかです。また、放射線治療の位置確認のため体内マーカーを前立腺内に挿入します。

高精度放射線治療

強度変調放射線治療 ( IMRT )

従来の放射線治療では腫瘍と正常組織が近い場合、正常組織にも高い線量があたっていました。強度変調放射線治療(IMRT)は、腫瘍に十分な線量を与え、正常組織の線量を減らすことができる技術です。IMRTは、コンピュータと照射機器の進歩により実現した高精度放射線治療であり、実施できる施設が限られています。当院では専門スタッフを揃え、適切に治療や装置管理を行っています。




深吸気息止め照射( DIBH )

左乳房に対する通常の照射では、心臓の一部に放射線が当たります(図左)。心臓に放射線がたくさん当たると、今後の心血管疾患のリスクを高めることがわかっています。そこで当院では、深吸気息止め照射(DIBH)という方法を用いて心臓に当たる放射線の量を低減する取り組みを行っております。この方法は深く息を吸った状態で息止めをすることで、心臓を照射範囲から遠ざけ、心臓の線量を下げることができます(図右)。当院では専門スタッフにより、治療法に関する説明や息止めの練習を事前に充分行い、安心して治療に受けていただけるよう努めております。

(左)従来法でのCTを用いた治療計画。心臓が照射範囲内(黄色の領域)に含まれている。
    (右)深吸気息止めCTを用いた治療計画。心臓が照射範囲内から外れている。



画像誘導放射線治療 ( IGRT )

IGRT は、毎回の放射線治療直前に治療台の上でX線撮影を行い画像を取得します。得られた画像から腫瘍の位置誤差を補正し、正確に治療を実施する技術です。当院のIGRT は主にExacTrac System と Cone Beam CT を使用して高精度で迅速なIGRT を実施します。

ExacTrac System

床と天井に設置された2対のX線装置により撮影された2方向からの画像を用い3次元的に解析します。解析結果に基づいて治療台が6軸に動いて位置を補正します。

ExacTrac System

Cone Beam CT

放射線治療装置(リニアック) と一体となったCT システムであり、患者様の周りを回転することによって治療台の上で CT 画像を取得します。Cone Beam CT 画像と治療計画用CT 画像を重ね合わせ位置補正を行います。

Cone Beam CT

定位放射線治療 脳、体幹部 ( SRT )

定位放射線治療(SRT)とは、リニアックや治療台を回転させ、非常に細い放射線を多方向から病巣に対して集中させます。通常の放射線治療と比較し、周囲の正常組織に当たる線量を極力減少させ、1回の照射で大線量を投与することが可能です。定位放射線治療では厳しい位置精度が要求されるため、画像誘導放射線治療(IGRT)を行い位置誤差を補正し正確な位置で照射を実施します。

定位放射線治療

定位放射線治療02

ご挨拶

2016年1月にがん診療の充実をめざして、放射線治療科を新設、放射線治療センターを開設致しました。複数の画像誘導装置を有する優れた放射線治療システム( Varian社製TrueBeamTM with ExacTrac )を使用しております。汎用機としての利便性に優れるほか、IMRTや定位照射などの高精度治療を短時間に施行可能な機器です。さらに機器だけではなく、放射線治療専門医や医学物理士、放射線治療専門技師、常勤看護師などの高度の専門性を持ったスタッフが結集しています。治療の説明から、治療中、治療後のケアに至るまで安心して通院して頂けるよう心がけています。また、カンファレンス等を積極的に行い、院内はもとより院外の担当科とも連携し、個々の患者さんに最適な集学的治療を施行しています。当院は奈良県がん診療連携支援病院に指定されており、今後とも、地域のがん診療に貢献してまいりたいと考えています。引き続き、皆様方の温かいご支援とご協力をお願い申し上げます。


放射線治療科部長 横川正樹
主要疾患(診療内容)

1.根治を目指す照射…前立腺がん、食道がん、肺がん、膵臓がん、肛門がん、膀胱がん、悪性リンパ腫、脳腫瘍、頭頸部腫瘍、など

2.術前後の再発予防のための照射…乳がん、食道がん、肺がん、膵臓がん、胆道がん、大腸がん、肛門がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、脳腫瘍、頭頸部腫瘍、骨軟部腫瘍など

3.痛みや症状を緩和するための照射…骨転移、脳転移、リンパ節再発など

4.良性疾患への照射…ケロイド、甲状腺眼症など

主要設備

TrueBeam™ Radiotherapy System (Varian Medical Systems, Inc.) 
ExacTrac® (Brainlab AG)
SOMATOM Definition AS64 RT Pro Edition (Siemens)

診療実績

2016/1/25より臨床稼働。

年  実人数 新患数 IMRT 脳定位 体幹部
定位
食道 乳房 肝胆膵 胃小腸
大腸
婦人科 泌尿器 その他
2016年 238 224 0 5 3 7 12 122 4 18 5 54 2
2017年 221 208 0 5 3 7 16 89 4 16 8 57 4
2018年 232 230 40 8 1 8 19 99 5 18 6 58 5
2019年 217 207 56 5 0 10 13 98 11 14 10 38 5
2020年 214 203 61 5 1 10 2 99 10 14 12 49 5
2021年 212 208 68 5 3 4 5 102 5 19 6 58 4
2022年 227 224  67   6   7   5   8 105   8  17  13  60   2

※IMRTは2018年5月より保険収載可

認定、指定施設

日本放射線腫瘍学会認定施設

日本医学放射線学会放射線科専門医修練機関認定施設



放射線治療とは

放射線治療は手術療法、薬物療法、緩和ケアと並んで、がん治療の四本柱の一つです。近年のコンピュータ技術の進歩は、放射線治療の照射精度を飛躍的に向上させました。放射線治療は単独で行われたり、手術・薬物・緩和ケアと組み合わせて実施されます。

放射線治療における最大の特徴は 3つです。

1. 病変部を切らずに治療するため、機能・形態を概ね、温存できます。
2. 手術や化学療法に比べて全身の負担が小さいため、合併症のある患者さんでも治療できます。
3. 早期がんの治療から緩和的治療まで、がん治療の全ての段階に適応できます。

大和高田市立病院のがん診療

がん治療の3本柱

患者さんを中心としたチーム医療

放射線治療の流れ

1.診察

放射線治療専門医が診察して、最適な治療方針を決定します。安心して治療が行えるように看護師が生活面等の説明を行います。

診察

2.治療計画用CT の撮像

放射線治療計画専用のCT 画像を撮像します。放射線治療を受ける時と同じ体位で撮像し、体にマークを描いたり、症例によっては固定具を作成します。

治療計画用CT の撮像

3.治療計画の作成・検証

撮像した CT 画像を使って放射線治療専門医が医学物理士と協力し最適な治療計画を作成します。治療計画の最適性を医学物理士、診療放射線技師が検証します。

治療計画の作成・検証

4.治療の開始

検証された治療計画に基づいて診療放射線技師が正確に放射線を照射します。

治療の開始

5.治療中

定期的に放射線治療専門医が診察します。看護師が相談を受けたり副作用がある場合、ケアを行います。

治療中

6.治療終了(経過観察)

特色

放射線治療は約2週間から8週間、毎日(土日祝は除く)治療を行います。
当院では外来患者さんの通院負担を軽減するため、
予約制、放射線治療センター専用駐車場の利用、月末一括会計システムを導入しました。

予約制

待ち時間がないよう予約制で治療を行います。
予約時間の前に来られて待合でゆっくりしていただいても結構です。

受付01

受付02

受付03

ウォーターサーバ

放射線治療センター専用駐車場の利用

放射線治療センター専用駐車場を利用していただき、センターのそばまでお車でお越しいただけます。

地図

月末一括会計システム

月末に一括で会計を行うことにより、毎日の会計による待ち時間をなくし治療が終わると、すぐ帰宅できます。

イメージ

予約方法

1. お申し込み

当院の地域医療連携センターにお電話でお申し込みいただけます。 ご希望の日時をお伝えください。なお、下記の情報をご提供いただけますようお願いします。

■ 患者さん氏名
■ 生年月日
■ 照射部位
■ 診断名
■ 入院治療の希望有無
■ 放射線治療歴の有無
  (有の場合は投与線量、線量分布図、リニアックグラフィなどの情報)

2. 放射線治療依頼書の作成

地域医療連携センターよりお送りする「診療情報提供書」に必要事項をご記入の上、FAXでお送りください。

3. ご来院

予約時間の10分前に地域医療連携センター(1階正面玄関入りすぐ )にお越しください。

■連絡先(地域医療連携センター直通)

電話:0745-53-7188(9時00分~17時00分 土日祝除く)
FAX:0745-52-4428(24時間受付)

■開設時間

8時30分~17時00分 (土日祝除く)

スタッフの紹介

大和高田市立病院放射線治療開設のために専門スタッフが集まりました

緊急放射線治療に関する全国調査について

  • 大和高田市立病院放射線治療科では、山梨大学が中心となって行っている全国の緊急放射線治療の全国調査であるに参加しています。この調査は、日本全国の緊急放射線治療の実態を把握することにより、多くの施設で安心、安全に緊急放射線治療を提供する体制を構築するためのデータ作成、検討を行うためのものです。

     ⇒緊急放射線治療に関する全国調査とは


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代表番号

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外来受付時間

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(午後診療については、外来診療担当表で各診療科ごとに確認して下さい)

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