平成28年度 大和高田市立病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 590 100 255 357 453 426 991 1491 1070 240
 全国的な高齢化に伴い、当院の入院患者さんは、60歳以上の割合が全体の62.5%、80歳以上が全体の21.1%になり、高齢者が入院される割合が高くなっています。60歳代と70歳代では外科、整形外科、泌尿器科などで手術を受けられる患者さんが多く、内科では肺炎での入院が多くあります。
 80歳以上では誤嚥性肺炎や心不全のため内科入院されることが多く、股関節大腿近位骨折での整形外科手術を受けられる患者さんも多くなります。
 20歳代から50歳代までの入院割合は全体の26.5%です。この年代では産婦人科での治療を受けられる患者さんの割合が高くなります。
 10歳代以下は全体の11.0%で、肺炎や喘息などの呼吸器疾患での入院の割合が高くなっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 120 28.45 21.25 5.83 82.84
050130xx99000x 心不全 手術なし  111 29.33 17.95 0.90 83.59
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等  46 15.89 11.06 2.17 77.89 内視鏡的膵胆管系検査
060100xx99xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 手術なし 39 1.56 3.00 0.00 67.41
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし  手術・処置等2 4あり 38 20.50 12.35 0.00 68.34
 内科は消化器内科、循環器内科。呼吸器内科(肺癌中心)と専門分野があり、各専門の患者さんも多くいますが、市立病院として、高齢化する地域の患者さんの健康を守る役割を果たしていくため、肺炎患者さんが多いです。高齢となり、嚥下が困難になってきて、誤嚥して肺炎を生じる患者さんが多いです。嚥下機能の回復する訓練などをするために、入院期間が長くなります。大病院のように、急性期だけみて、嚥下機能の回復は地域の病院にお任せしますとは言えません。患者さんが、肺炎に罹患しても、また食べれるようになって、元気に退院されることを目指しています。
 また、高齢になると、心機能が低下し、心不全を生じて、寿命を迎える患者さんも数多くいますが、最新の治療薬を用いて、心機能の回復を図り、また在宅に復帰できるように診療しています。
 以前から、総胆管結石による胆管炎を生じた患者さんに対して、内視鏡的胆道ドレナージして、急性期をしのいで、その後乳頭切開術などして、総胆管結石を採石する処置をしています。各年度により、症例数のばらつきがありますが、平成28年度は、前年に比し患者数が多かったです。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術  59 7.76 6.59 0.00 58.39 乳房温存術
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 44 6.14 7.61 0.00 62.05 腹腔鏡下胆嚢摘出術
060100xx99xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 手術なし 39 1.44 3.00 0.00 70.51 大腸検査
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 30 6.20 6.82 0.00 64.60 腹腔鏡下胆嚢摘出術
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術  30 11.70 11.57 0.00 62.27 乳房切除手術
 当院外科では、消化器疾患・救急疾患および乳がん症例を、数多く診療しております。私たちの基本的な治療方針は、“患者さんを中心とした診療”を行うことです。消化器内科や放射線科・放射線治療科と連携して、各種ガイドラインを順守した、標準治療を心掛けています。
 消化器疾患・救急疾患は、特に消化器内科と連携することが多く、カンファレンス等で症例検討を行います。中でも急性胆嚢炎は、緊急手術が必要になることが多いため、外科で入院加療を行うことが多い疾患です。急性胆嚢炎は、可及的早期に胆嚢摘出術を行うことが、安全で望ましいと考えられていますが、腹腔鏡下に行う方が開腹下に行うよりも入院期間が短縮される傾向にあります。また癒着性腸閉塞なども、緊急手術が必要になる可能性があり、多くは外科で入院治療を行います。しかし、実際には癒着性腸閉塞の多くは、保存的に軽快することが多く、その場合、手術は行いません。
 一方、乳がん症例は年間約100件の手術を行います。後述の如く、手術を行う症例の約70%は乳房温存手術を行い、必要に応じて、自院で術後放射線治療を追加いたします。
 いずれの疾患も平均在院日数は、全国平均と比較して遜色のない成績となっております。

整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160610xx01xxxx 四肢筋腱損傷 靱帯断裂形成手術等 71 39.83 20.87 0.00 67.63 関節鏡下腱板断裂手術
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 38 51.47 20.57 2.63 79.68
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 35 52.11 27.63 22.86 81.17
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 20 22.95 11.91 0.00 39.50
160610xx97xxxx 四肢筋腱損傷 その他の手術あり 17 14.88 10.04 0.00 59.53 関節鏡下腱板断裂手術
 整形外科では高齢化に伴う骨粗鬆症による脆弱骨折(大腿骨近位骨折、圧迫骨折)と変形による腱板断裂や半月板損傷などが増加しているものと考えます。圧迫骨折に対しては、保存療法が殆どです。またそれとは正反対になりますが比較的若年者のスポーツに伴う疾患(前十字靱帯損傷、半月板損傷など)も当院では増えています。これらの関節疾患に対しては、当院では出来るだけ関節鏡手術を行うようにしております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 114 6.93 6.18 2.63 0.00
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 61 5.15 6.02 0.00 1.44
030270xxxxxxxx 上気道炎 47 4.19 4.83 4.26 1.15
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 46 4.89 5.79 4.35 3.52
040100xxxxx00x 喘息 33 4.88 6.42 0.00 3.94
 本院は、出産数が多いため、新生児の小児科入院が多くなっています。小児に多い感染症について早期治療により入院日数の短縮及び喘息治療においても入院日数は全国より短い。患児及び保護者の負担軽減に努めています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 98 7.32 6.29 0.00 45.38 腹腔鏡下膣式子宮全摘術(TLH)
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 87 10.59 9.88 0.00 31.60 帝王切開術(予定)
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 82 7.11 6.42 0.00 45.79 婦人科腹腔鏡下手術
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 82 13.28 20.79 10.98 29.84
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 48 11.19 9.77 0.00 31.46 帝王切開術(緊急)
 子宮筋腫などの子宮の良性腫瘍に対する治療として、腹腔鏡下膣式子宮全摘手術は、患者への侵襲が少なく、術後疼痛も軽減でき、入院期間も短縮できる手術です。10mmトロッカーを臍部に設置し、下腹部に5mmトロッカーを3本設置し手術を施行します。当院では、積極的に取り組んでおり、手術件数も年々増加しています。良性卵巣腫瘍や子宮外妊娠に対する手術は、ほぼ全てが、腹腔鏡下手術で施行しており、2孔式または、3孔式のより低侵襲の手術で施行しています。産科治療では、妊娠35週以降であれば小児科で対応できるため、切迫早産に対して、子宮収縮抑制剤の点滴等にて、妊娠期間を延長できるように治療を施行しています。
泌尿器科(人工透析)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 93 7.44 7.44 0.00 75.13 経尿道的膀胱腫瘍切除術
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 72 8.65 5.83 0.00 63.72 経尿道的結石破砕術
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術 30 10.93 9.98 0.00 73.87 経尿道的前立腺切除術
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 26 32.62 12.84 7.69 71.62
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 19 7.63 11.72 0.00 73.21
 泌尿器疾患全般について対応していますが、膀胱癌のため経尿道的手術を受けられる患者さんが多くおられます。膀胱癌の多くは内視鏡手術で切除可能で、平均入院期間は7.44日間で、全国平均と同じでした。
 膀胱癌治療では、放射線治療や抗癌剤治療も重要です。これらの治療のための入院期間が平均7.63日で、全国平均より短い入院期間でした。
尿管鏡が改良され、腎結石や尿管結石に対する経尿道的手術を受けられる患者も多くおられます。当院は他院から紹介される複雑な結石症患者も多いため、平均入院期間が8.65日間と全国平均より長くなりました。単純な結石症での入院期間は5日間です。
 透析施設をもつ病院のため、地域の透析患者さんの入院が多くあります。骨折や悪性腫瘍の手術目的や肺炎などの感染症治療などに対応しております。高齢化もあり、入院期間が長期化する傾向があります。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 21 5.81 5.50 9.52 43.05
030428xxxxxxxx 突発性難聴 13 8.54 9.37 0.00 55.85
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 11 9.45 8.12 0.00 17.64 扁桃摘出術
030240xx01xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 - - 7.28 - -
030280xxxxxxxx 声帯ポリープ、結節 - - 5.43 - -
 炎症性疾患に関しては、なるべく短期間の入院ですむ様に努力しております。
 突発性難聴に関しては、糖尿病の合併症に対し、入院治療を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 32 - - 43 10 10 1 6,7
大腸癌 19 15 29 22 - - 1 6,7
乳癌 49 40 - 10 - - 1 7
肺癌 - 13 39 80 - 10 1 7
肝癌 14 - 12 - - 23 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院では、数多くのがん患者に対し、積極的に集学的治療を行っております。それぞれの分野の専門医が、最新の手術・化学療法・放射線治療を駆使して、最良の治療を目指しています。また進行再発症例に対しては、精神的および肉体的なケアを行い、緩和医療の充実を図っております。
 先ず胃癌では、内視鏡的粘膜下層剥離術や腹腔鏡下胃切除術の対象となるstageⅠ期の早期がんと腹膜播種などを伴うstageⅣ期の進行がんに分かれる傾向にあります。StageⅠの症例は、ほぼ全例治癒します。一方stageⅣ胃がんの予後は不良でしたが、最近では、術前化学療法と手術を組み合わせることで、根治となる症例も徐々に増えてまいりました。
 大腸がんでは、内視鏡的粘膜切除術の対象となるstageⅠの早期がんが多いのが特徴です。しかし、リンパ節転移が1個でもあれば、stageⅢになるため、stageⅢ期の割合も高くなっています。一方大腸がんに多く見られる肝転移症例は、stageⅣになります。こちらもstageⅣ胃がんと同様に、化学療法と手術を併用いたしますが、進行胃がんと異なり、その予後は大幅に改善いたしました。
 当院では、多くの乳がん症例を治療しておりますが、診断の進歩により、早期に発見される症例の多いことが特徴です。また進行した症例にも術前化学療法および放射線治療を併用することにより、全体で約70%の症例に乳房温存手術を行い、根治性と整容性の両面で満足できる成績になっています。
 当院では、肺がんは呼吸器内科が担当しております。奈良県中和地域は喫煙率が高く、非常に多くの症例を認めます。進行がん症例が多く、主に化学療法と放射線治療を用いて治療を行っています。
 肝がんは、血性肝炎から肝硬変を経て、発症することが多い疾患です。現在、肝切除術や経皮的ラジオ波焼灼療法を主体にした治療を行っておりますが、C型肝炎が、薬物治療で治癒可能となりましたので、今後は症例数そのものが減少することが予想されます。
 
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 10 8.70 49.80
中等症 52 16.00 80.21
重症 15 25.33 84.13
超重症 - - -
不明 0 0.00 0.00
 普段の社会生活の中で罹患する肺炎が市中肺炎ですが、高齢化に伴い体力・免疫力が低下し、重症化することが多くなり、入院期間も延長します。超重症の場合は、回復せずに死亡される患者さんもあり、重症より入院期間が短縮していると思われます。高齢で重症化しても、治癒を目指して診療しています。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 - - - - -
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 - - - - -
I63$ 脳梗塞 3日以内 48 27.60 78.46 7.81
その他 16 35.63 76.56 0.00
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの - - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> - - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 - - - - -
 本院は、脳外科医、神経内科医の専門医の常勤医が不在なので、超急性期の血栓溶解療法ができません。超急性期を過ぎた患者さんが中心になりますので、麻痺が生じてしまった患者さんが多く、リハビリを行い、身体機能の回復を図っています。そのため、比較的入院期間が長いです。しかし、昨年は、ある程度リハビリしてから回復期病棟への転出などが進み、昨年より在院日数が減少しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 168 0.43 1.65 0.00 67.65 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 36 1.89 14.28 0.00 71.36 血管塞栓術
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 25 1.64 7.64 0.00 75.56 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術)
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 24 2.42 11.38 0.00 73.04
K654 内視鏡的消化管止血術 23 2.43 15.52 0.00 70.17
 癌を含む大腸ポリープに対して、内視鏡的に切除する手術が、昨年度より増加しています。
 肝癌に対する、肝動脈塞栓術は、奈良県立医大の放射線科医が来ていただいて、行えるようになり、件数が増加してきました。
 早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下切開剥離術も、主施行医が二人体制でできるようになり、件数が増加してきました。地域の消化管出血に対する、救急対応も医師が一人増加したので、より多くできるようになりました。
 肝硬変で腹水が多量に貯留する患者さんに対して腹水濾過濃縮再静注の件数も増え、患者さんの腹部膨満感の緩和をおこなっています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 104 1.11 4.16 0.00 66.59 腹腔鏡下ソケイヘルニア根治術
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 89 1.67 4.46 0.00 62.72 腹腔鏡下胆嚢摘出術
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 82 0.05 1.00 0.00 68.54 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 60 1.22 5.60 0.00 58.92 乳房温存手術
K6171 下肢静脈瘤手術(抜去切除術) 54 0.56 0.74 0.00 66.94 下肢静脈瘤手術(日帰り)
 消化器外科としては、食道がんには、手術と化学療法・放射線治療を組み合わせた集学的治療を行っています。食道がんの手術は、以前は術後の創部痛が強い傾向にありましたが、侵襲の少ない胸腔鏡下手術を行うことにより、術後の疼痛も大幅に軽減しました。
 胃がんに対しては、早期の場合には、可能な限り内視鏡での切除を選択し、手術が必要な場合は、積極的に腹腔鏡下手術を行う方針としております。一方、進行がん症例では、必要に応じ、審査腹腔鏡検査や術前化学療法を行っています。術前の化学療法導入により、切除不能であった胃がんが切除できるようになる場合や、根治性が上昇する可能性があります。
 大腸がんに対しても、早期のがんには積極的に内視鏡的切除を行っております。手術が必要な場合は、2005年から腹腔鏡下手術を標準術式にいたしました。また最近の大腸がんにおける薬物治療の進歩は著しく、肝転移を伴う症例でも、多くの方が治癒されるようになりました。さらに直腸がんでは、手術と薬物治療に、放射線治療を加えた集学的治療が有効で、治療成績も着実に向上しています。その他、肝胆膵領域の良性および悪性疾患も積極的に治療を行い、安全な手術が行えるようになりました。
 また虫垂炎や鼠径ヘルニアの手術でも、腹腔鏡下手術の割合が増え、早期退院・術後創部痛の軽減が可能になっております。
 一方、乳がんの治療では、タイプに合わせた、個別化治療を行っております。術前治療を積極的に行うことにより、約70%の方に乳房温存手術が可能になりました。手術では、術中病理検査を行い、乳房温存手術の断端やセンチネルリンパ節生検を、手術中に病理で調べることにより、安全で過度の侵襲のない手術を心掛けています。またエクスパンダー・インプラント実施施設の認定を受け、乳房同時再建手術も開始いたしました。さらに最新鋭の放射線機器の導入により、当院で完結した乳がん診療が可能になっております。

整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K080-41 関節鏡下肩腱板断裂手術(簡単) 63 1.10 37.76 0.00 69.08 関節鏡下腱板断裂手術
K0461 骨折観血的手術(大腿) 29 5.14 48.07 17.24 77.00
K066-21 関節鏡下関節滑膜切除術(肩) 18 1.06 10.17 0.00 58.44 腱板断裂
K0462 骨折観血的手術(前腕) 14 1.57 26.07 0.00 58.00
K0811 人工骨頭挿入術(股) 13 7.85 66.15 30.77 81.38
 整形外科では肩腱板断裂手術の患者が多いことが特徴です。関節鏡視下で多くの手術を行い、患者さんお負担が比較的少なくすむように努めております。
肩腱板損傷、肩不安定症(脱臼・亜脱臼)、肩拘縮、反復する石灰沈着炎等や、膝半月板損傷、前十字靱帯損傷、関節軟骨損傷などの肩・膝の疾患、外傷に対して、外来通院診療では充分な治療効果が得られない場合、関節鏡を積極的に用いた低侵襲(体への負担が小さい)で、早期復帰を目指す手術を積極的に行っています。
 上位3つの手術は肩に関する手術ではありますが、骨折や膝関節など整形疾患に対して幅広く手術をおこなっております。地域の高齢者の運動機能と健康寿命を維持するため、高齢者骨折のなかでも、手術加療の重要度の高い大腿骨近位部(ふとももの付け根)・撓骨遠位端(手首)・上腕骨近位端(腕の付け根)の3主要部位の骨折を中心に高齢者の骨折の治療に積極的に取り組んでいます。
 さらに、上腕骨近位端骨折や脛骨近位端骨折などの肩や膝の骨折の手術には、低侵襲、かつ、確実な骨折部の固定を目指して、関節鏡を積極に併用しています。
 また、進行した関節症に対しては、膝や肩の人工関節置換を行っています。なお、スポーツや肉体労働などの継続を望まれる初老期の膝関節症の方には、骨切り術を選択して、関節の温存(人工関節の回避)をはかる治療も積極的に行っています。
 さらに、整形外科でも特殊分野になる骨軟部腫瘍は、全国的にも専門医が少なく、奈良県下でも専門医が対応できる医療機関は、限られています。
専門的な知識・経験が必要とされる骨軟部腫瘍の治療については、骨軟部腫瘍の専門医が治療を行います。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 94 1.22 5.47 0.00 44.71 婦人科腹腔鏡下手術
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 80 2.76 8.06 0.00 32.49 帝王切開術(予定)
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 78 1.05 5.40 0.00 47.23 腹腔鏡下膣式子宮全摘術(TLH)
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 69 3.07 8.78 0.00 30.61 帝王切開術(緊急)
K867 子宮頸部(腟部)切除術 36 0.97 1.00 0.00 39.00 子宮頸部切除術
 子宮筋腫などの子宮の良性腫瘍に対する治療として、腹腔鏡下膣式子宮全摘手術は、患者への侵襲が少なく、術後疼痛も軽減でき、入院期間も短縮できる手術です。10mmトロッカーを臍部に設置し、下腹部に5mmトロッカーを3本設置し手術を施行します。当院では、積極的に取り組んでおり、手術件数も年々増加しています。
 年間分娩件数は約600件で、そのうち帝王切開は、165件です。前回帝王切開、骨盤位等に対して、選択帝王切開を施行し、遷延分娩、退治機能不全等に対して、緊急帝王切開を施行しています。患者の機能により、横切開にての帝王切開も施行しています。
泌尿器科(人工透析)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 76 1.29 6.28 0.00 76.34 経尿道的膀胱腫瘍切除術
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 72 3.31 5.04 0.00 63.40 経尿道的結石破砕術
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 37 1.51 2.35 0.00 71.54 経皮的血管拡張術(PTA)
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 28 5.54 12.11 0.00 74.25 経尿道的前立腺切除術
K610-3 内シャント設置術 27 2.41 14.74 7.41 74.74 シャント形成術
 膀胱癌の多くは経尿道的手術で切除可能です。内視鏡の先端に電気メスをつけて、膀胱癌を切除します。癌の状態により変わりますが、術後2~5日間の尿道カテーテル留置が必要です。カテーテル抜去後に退院していただきますが、平均入院期間は7.44日間でした。
 腎結石や尿管結石に対する手術は、尿道から細い内視鏡を挿入し、レーザーを用いて細かく砕いて結石を取り除く手術を多く行っております。通常手術前日の入院ですが、感染症の合併があれば術前に抗生剤治療が必要なため、術前入院期間が3.31日になりました。
 血液透析をされている患者さんのシャント血管の狭窄や閉塞に対して、レントゲンで血管を撮影し、カテーテルを用いて狭窄や閉塞を改善する治療を行っています。狭窄では2~3日間の入院ですが、閉塞した場合は緊急入院となり、入院期間が長くなります。
 前立腺肥大症に対する電解質液を用いた経尿道的手術は、手術合併症を軽減する手術手技です。通常は手術前日の入院ですが、尿閉や前立腺炎などのため、術前治療が必要な患者さんが多く、術前入院期間が5.54日と長くなっています。
 内シャント設置手術後に入院継続し血液透析導入となる患者さんが多いため、入院期間が長くなっています。また、糖尿病や高齢のため血管が細い患者さんでは、人工血管を用いた内シャントを作成することが多くなっています。人工血管を用いた内シャントでは、術後の創部の浮腫などが長引くため入院期間が長くなる原因となっています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 146 1.00 4.71 0.00 77.00 白内障片目
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(縫着レンズ挿入) - - - - -
K224 翼状片手術(弁の移植を要する) - - - - -
K269 虹彩整復・瞳孔形成術 - - - - -
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 眼科では、主に白内障の手術を行っております。基本的には、片目を1回の入院(3泊4日)で手術を行っております。日帰り手術ではなく、入院しての手術となるため、術前、術後とゆったりした状態で手術を受けてもらえます。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 11 1.00 7.45 0.00 17.64 扁桃摘出術
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 - - - - -
K3892 声帯ポリープ切除術(直達喉頭鏡) - - - - -
K2862 外耳道異物除去術(複雑) - - - - -
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) - - - - -
 口蓋扁桃摘出術に対し、術中および術後の出血を減らすために様々な手術器具を使用して手術を行っております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 10 0.17
180010 敗血症 同一 22 0.37
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 57 0.96
異なる - -
 播種性血管内凝固症候群と敗血症は重篤な病状となります。それぞれの発生率は0.25%と0.44%であり、これらの患者さんの65%は入院時に発症されていました。
 手術・処置等の合併症で入院された58名のうち57名は、透析シャント血管の狭窄や閉塞の治療目的の入院でした。これら透析シャント血管の多くは、ご自身の血管が細く人工血管を用いた患者さんであり、人工血管を用いたシャント血管は定期的な治療が必要となります。
更新履歴
2017.9.29
病院指標の公開